ネタバレも多少あり?韓国映画「パラサイト 半地下の家族」の感想
안녕하세요?
oulmoonです。
ついに、今日から全国公開開始ですね!
ポン・ジュノ監督の最新作
「パラサイト 半地下の家族」
公式ホームページ → ★
先日、一足お先に先行上映で観てきましたが、改めて感想など書いてみます。
あらすじなどは、以前この作品の紹介で少し触れているし、詳細は公式HPを見てくださいませ。
劇場で観れば分かると思いますが、映画上映前に監督自身も主演俳優たちも「ネタバレ」を禁止する言葉を何度も投げ掛けてきます。
特に後半の展開に関しては、なかなかびっくりな展開もあるので是非ご自分で観て確かめていただきたい!
というわけで、この記事は映画を観た人が「あー、この人はこんな感想を持ったんだ」くらいに読んでいただければ幸いです。
極力ネタバレなしで進めていくつもりですが、ヒントになるようなことは出てくるので、この記事を最後まで読むなら、出来れば映画を観たあとにしてくださいませ。
「でも気になるもん!」
「映画を観に行けないもん!」という方は、
自己責任で読んでくださいませ!
今の韓国社会を思うと、色々感じることはあるけども・・・
それにしても、邦題をなぜ「パラサイト」にしたんだろ?
個人的にはそのまま「寄生虫(기생충)」でいってほしかったな。
大ヒット映画「부산행」も、新幹線とかけたのか、「新感染」でしたよね。
今思えば捻りすぎな気も…。
まぁ、それはさておき、本作品です。
カンヌでパルム・ドールを受賞したときにも書きましたが、韓国で韓国語版をみた先生から「監督の左派的メッセージは無視して、単純に映画として観たら面白いですよ」とアドバイスされていました。
これまでポン・ジュノ監督の作品は様々な作風で、格差社会について表現しています。
もちろん、韓国という国では常に厳しい競争社会を強いられ、その勝敗によって激しい格差社会が生まれているので、そういった作品が多いのはある意味必然かもしれません。
ただ、富裕層を何気に終始嫌味に見せる辺りなど、作中で常に感じる「貧富の格差があることは悪だ。金持ちは悪だ」という左派的感覚が、私も気になりました。
全ての富裕層がそうだとは限りませんが、「お金持ち = 一生懸命頑張った結果、つかんだ成功」と見せない辺りが。
(それを言い出したらこの作品自体の意味がなくなっちゃうか)
私が感じた「左派的メッセージが気になる」というのは、現状の韓国をみて学んでいる私個人の感覚ですが、韓国でも「なぜソン・ガンホがあの行動をとったのか」という部分で、評価が分かれると言われているのは面白いな、とも思いました。
まぁ、映画なんて好みが分かれて当然なので、それこそどうとらえようが関係ないですけどね。
ストレートに「映画作品」としては面白い!!
最初から否定っぽいことを書いてますが、もちろん圧倒的に面白いのは事実です。
格差社会を描くことで現実の厳しさを皮肉りつつも、娯楽映画的面白さもしっかりと含んでいるのでクスリと笑えたりぞっとしたり。
常に感情を揺さぶられてしまうというあたり、さすがポン・ジュノ監督。
最後までどんな展開になるのか終始ドキドキしっぱなしで、私も結局は「観て良かった」というのが一番の感想です。
処かしこに「?」と思うシーンや、やけに似たようなシーンが繰り返されることもあるのですが、基本その違和感は伏線につながりますよね。
「水は下にしか流れない(大雨)」
「富裕層ほど高台に住む(安全地帯)」
「闇につながる階段(隠された地下と半地下に住むギテクたち)」
「不自然なライト(モールス信号)」
「妙に鼻につく独特のにおい(階級ごとの相いれない関係)」
他にもあったと思いますが、少しい思い出すだけでも印象的なシーンが沢山あります。
それらをより理解するためにも、「もう一度観たいなぁ。」と思ってしまいます。
映画から伝わるある意味生々しい現実の数々
映画のスタートは、韓国の貧困層を代表するような、狭くて暗い半地下に住むキム一家4人の日常から始まります。
「こんな環境で生活できるのか」と目を疑うほど、その環境は劣悪です。
日の光が唯一入る小さな窓からは、酔っ払いが立ちションした尿や、町に散布された殺虫剤がそのまま入ってきます。
窓の高さが地面です
家の中で一番高い位置にあるのがトイレという光景もなかなかびっくりでした。(だからWi-Fiが一番入りやすいのもトイレというのも)
殺虫剤散布中にも関わらず、内職でピザの配達用の容器をそのまま作り続けているシーンも衝撃的でした。
この後、外で撒かれた殺虫剤が部屋中に充満して真っ白に
見た感じだと吸っても無害な殺虫剤のようですが、それでも殺虫剤付きの容器でピザが運ばれると思うと…
そういうシーン1つ1つで、この家族たちがどういう状況で、どういう感覚で生きているのかが伝わってきました。
そんなキム一家の生活が一変するのは、息子のギウがIT企業のパク社長宅の家庭教師になったことがきっかけでした。
ギウの友人であり、エリート学生の紹介ということで富裕層のパク宅へすんなりと入り込んだ彼。
そこからキム一家全員がパク家を取り込むまであっという間でした。
最初の面接時、ソウル大卒の偽の証明書を用意したのに「そんなの見せなくていいのよ」と気にも留めない。
独特な雰囲気をかもしだすギウに、娘も母親も一瞬で信用してしまう。
そんな彼の紹介ならと、ギウの妹のギジョンをベビーシッターに、ギジョンの紹介で、父親ギテクは朴茶長の専属運転に。
極めつけは、家政婦として母親チュンスク。
彼女の前任者を追い出す家族総出の計画は、「面白い」を通り越してちょっと怖かった。
ここまでの家族の計画があまりに上手くいくので「ありえない」ようにも感じましたが、映画を観ながら何年か前に知り合いから聞いた言葉が浮かび上がってきました。
「お金持ちの人っていい人が多い。お金持ちって性格悪いって言われるけど、逆だよ。心身ともに余裕があるから、まっすぐ育つの。お金持ちほど素直で優しいよ。」
似たようなセリフが劇中でも出てきて、「あー」と思いました。
監督は同じ意味で使ったのではないかもしれませんが。
貧困層のリアルな生活と、富裕層の一見嘘みたいでリアルな感覚。
私にはどちらも生々しく感じて、それらがこれから起こる事件のきっかけになりそうで、少し怖かったです。
「あの計画」を途中でやめていたらどうだったんだろう?
ここで家族がうまいことやって・・・で終わっていたら、笑える作品で終わっていたかもしれないけど、そうもいきませんよね。
ここから家族はパク家を乗っ取ろうと更なる計画を進めますが、思いもよらない横やりが入ります。
追い出したはずの元家政婦が突然訪ねてきた辺りから、サスペンス要素は一気に増し、「恐怖」や「不安」といった感情に押し流されて、時間の経過が分からなくなるほど引き込まれました。
一瞬ホッとする展開になったと思ったら、またしても襲い掛かってくる修羅場に、まるでジェットコースターに乗っているような感じ。
最後まで予想もつかない展開にハラハラドキドキしっぱなしでした。
このバランス感覚は、ほんとうにすごい!
最後に
ラストのストーリーについて詳細は書きませんが、最後のシーンは途中混乱したんですよね。
ギウのナレーションが、現実なのか彼の妄想なのか一瞬分からなくなりましたが、最後にようやく理解しました。
彼らもそっち側に行ったのかと思ったけれど、そうではなかった。
たとえ彼らが夢見て今後の計画を立てようとも、現状はそうではない。
その事実が、ポン・ジュノ監督の言いたかったことの1つのような気がして、でも私にはどうもモヤモヤした部分でもありました。
この違和感について考えた時浮かんできたのは、後半の事件が起きたきっかけとか、ラストについてすんなり受け止められる人は「お金持ち = 悪人」という思考の人なのかもしれないなということ。
そうでないにしても、人によって様々な感想の残る作品だと思います。
監督の作品は基本的に「さぁ、君ならどうこれを読み解く?」というメッセージが含まれているので、今回もまんまとそれにはまった気がします。
でも先ほども書きましたが、とてもバランスよく組み立てられているので、それさえも気持ちいい作品なのです。
と、ここまで感じたことなど思い出しながらつらつらと書いてしまいました。
うまくまとまっていないかもしれませんが、作品を理解するうえで少しでもお役に立てたなら嬉しいです。
本国でも賛否両論あるし、見るたびに違う思いも生まれてきそうな作品です。
より興味を持った方、再度みたい方、ぜひ一度といわず何度でも見てみてください。
おまけ
「パラサイト」公開を記念して、監督へのインタビュー番組が2020年1月11日(土)にテレビ東京で放送されます。
興味のある方はこちらもぜひ!
それでは今回はここまで。
今日も見てくださって、ありがとうございます!
また次回の更新でお会いしましょう