韓国映画「パラサイト(寄生虫:기생충)について
안녕하세요?
oulmoonです。
先日の会話レッスンで、今年度カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した韓国映画「寄生虫(기생충)」の話題が出ました。
韓国で初のカンヌ映画祭パルムドール受賞作品「寄生虫(기생충)」
韓国映画好きならご存知の方も多いかもしれませんが、今年の5月25日に開催された第72回カンヌ国際映画祭の授賞式で、ポン・ジュノ監督の映画『寄生虫(パラサイト)/Parasite』が最高賞となるパルムドールに輝きました。
これまでもカンヌ映画祭で韓国映画はいくつかの賞を獲得していますが、パルムドール受賞はこれが初です。
カンヌ映画祭にてポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホさん
昨年の是枝裕和監督作『万引き家族』に続き、アジア勢で、しかもどちらも家族を題材にした映画で、連続でパルムドールを獲得する快挙となりました。
ただ、残念なことに今年は日本作品がコンペティションに入らなかったせいか、あまり日本では話題になっていないようでしたけど。
パルムドールを初受賞というだけでもたいしたことなのですが、今回の受賞は韓国の映画界にとって特に大きな意味がありました。
実は今年が韓国映画誕生100年という記念の年なんです。
しかも6月17日にはオーストラリアのシドニー映画祭でも最高賞の「シドニー・フィルム・プライズ」を受賞したとのこと。
そのため韓国では非常な盛り上がりで、韓国では5月30日に公開となりましたが大ヒットしています。
ちなみにですが、映画公開から53日(5/30~7/21)で1,000万人突破。
同時期に『アラジン』や『トイ・ストーリー4』、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』『ライオンキング』のディズニー、ハリウッド系の映画が上映される中で、いかに人気が高いかが伺えます。
「寄生虫(기생충)」ってどんな映画?
しかしですね、大抵の芸術作品は好みが分かれるように、この作品を実際に見た人の評価も結構分かれています。
私の韓国語の先生も、「ただの映画としてみてほしい。そうじゃないと…」という歯切れの悪い感想でした。(詳しくは後ほど)
どうも内容的に、今の韓国の現状をドキュメンタリーのように映し出してみえる部分もあるらしく、観る人によっては「胸が苦しくなる作品」のようです。
全部は私も観れていないので、今回は分かる範囲でざっくり情報などをご紹介しますね。
あらすじ
家族仲はいいが、全員が失業中で半地下の家で貧乏暮らしをしているギテク一家(ソン・ガンホら)。
しかし長男が裕福なIT企業社長の家庭(パク家)の家庭教師についたのを機に、一家はそこへ寄生し徐々に生活も変化していくが…。
概要
貧富の差の問題を題材にしつつ、エンターテインメント性と社会性を両立したブラックコメディー。
格差社会を批判する社会派映画でありながらも、分かりやすいストーリー運びとブラックユーモア、効果的技術や工夫された設定などのよって、高い評価をうけている作品。
先の読めない予想を裏切るストーリーに衝撃を受ける人も多い。
ネットで検索すれば分かりますが、数多くの映画評論家たちが「ブラックコメディー」と表現しています。
でも単にそれだけで割り切れないほど、一言でこの作品のジャンルを説明するのは難しいようです。
物語の中盤で話の流れが変わってからはサスペンスのようなスリラーのような要素もあり、R15に指定されていますが、R19まで制限したほうがいいという意見もちらほらみました。
後味のいい映画ではないことは確かのようですが、階層・格差・お金・善悪・家族・正義など、色々と考えさせられる作品でもあるよう。
でも色々ある情報の中で、私が一番「へー」と思ったのは先生の感想でした。
先生の言葉をそのまま借りると、「この作品は『韓国人だから100%理解できる』というものではなく、『社会主義者・共産主義なのか資本主義なのか』で違和感なく納得できるか、理解できないかに分かれる作品」だそうです。
私は差別的な問題は別としても、貧富の差があるのは仕方ないというか、競争意識があるからこそ経済や社会は向上すると思っているのですが、「みんな平等であるべきだ」「裕福な人は悪だ」的な思想の人なら映画の中で起きる「ある行動」も理解できるそうです。
先生も私と同じ考えの持ち主なので、最後まで「なんでこうなるの?」という感覚が支配して、「この作品って政治的なメッセージがあるのかも」とモヤモヤしたとか。
だからこそ「ただのフィクション映画としてなら楽しめる」と言われていました。
「政治的なメッセージ」と書くとちょっと抽象的に感じる方もいるかもしれませんが、前々から「文大統領にかわってから、SNSの規制があったり、映画などでも親北的な内容や社会主義的なメッセージを含むものが進んで作られるようになった」と聞きます。
全てを鵜呑みにするわけではありませんし、芸術作品なんて角度を変えれば感じ方はいかようにもなるかもしれません。
でも確かに「そうかもな…」と思う部分もあります。(今度観に行こうと思っている作品もそれっぽいので)
そのせいか、これまでは映画作品に関していちいちそんなこと言わなかった先生がよく「単純にフィクションとして楽しんでください」ということが多くなりました。
まぁ、この話はちょっと頭の隅に入れておいてもらうくらいで構わないのですが。
とにかくいろいろな意味でなかなかの衝撃的な作品のようなので、個人的には日本公開(2020年1月予定)を楽しみにしています。
ちなみにコネストでも「寄生虫」が紹介されててました
韓国映画「寄生虫」(『パラサイト 半地下の家族』)をより楽しむための韓国文化キーワード6つ → ★
もし「寄生虫」をみたいという方は、以下で観ることも可能です。
https://a3.mybinoo.app/movies/기생충/
※日本語字幕なし
ただ視聴するなら問題ないですが、ダウンロードしてみるのは違法なのでご注意ください※1
(当たり前のことですが、一番いいのは韓国で観るか日本公開されるのを待ってからです)
※1 参考①:平成24年10月から著作権法が変わりました
販売または有料配信されている音楽や映像の「違法ダウンロード」は刑罰の対象となりました → ★
※1 参考②: 불법 스트리밍 사이트도 이용하는 것은 합법? → ★
韓国も同じように「視聴するだけなら違法に問われない」という感じで一応規制されているようです。
一応私も少しづつ観てますけどね…
字幕ないからちゃんと理解できているか不安なので、やっぱり早く公開してほしい!
ちなみに韓国映画に関して、こんなブログもありました
2019년기준 역대한국 흥행영화 순위1위 ~ 60위 → ★
おまけ:韓国映画のカンヌ映画祭受賞歴など
ここで、せっかくなので韓国のカンヌ映画祭での受賞歴を少しご紹介します。
2000年:イム・グォンテク監督の『春香伝』が初めてノミネート
2001年:ソン・イルゴン監督の『遠足』が短編コンペティション部門の審査員賞を受賞
2002年:イム・グァンテク監督の『酔画仙』が監督賞受賞
2004年:パク・チャヌク監督の『オールドボーイ』が審査員特別賞を受賞
2007年:女優チョン・ドヨンが『シークレット・サンシャイン』で主演女優賞を受賞
2009年:パク・チャンウク監督の『渇き』が審査員賞を受賞
2010年:イ・チャンドン監督の『ポエトリー/アグネスの詩』が脚本賞を受賞
2013年:ムン・ビョンゴン監督の『セーフ』が短編映画パルム・ドール賞を受賞
2016年:パク・チャヌク監督の『お嬢さん』がバルカン賞(技術賞)を受賞
2017年:ポン・ジュノ監督作のNetflix映画『オクジャ/okja』とホン・サンス監督の『その後』がコンペティション部門選出。
2018年:イ・チャンドン監督の『バーニング』が国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI)とバルカン賞(技術賞)を受賞
2019年:ポン・ジュノ監督の『パラサイト』が韓国初の長編でパルム・ドール賞を受賞
詳しくはこちら
カンヌ映画祭(韓国のWikipedia) → ★
そうそう!
カンヌ以外で「世界3大映画祭」と呼ばれているのはベルリン映画祭、ベネチア映画祭ですよね。
韓国映画がカンヌ以外で最高賞を受賞した作品は、2012年のベネチア映画祭でキム・ギドク監督の『嘆きのピエタ』。
これは金獅子賞に選ばれています。
つまり映画祭の垣根をこえれば、韓国映画の最高賞受賞は7年ぶりというわけです。
よく芸術に国境はないと言われます日本にしろ韓国にしろ、これからもアジアの作品がどんどん認められていくといいな。
さて、色々書きましたが、賛否両論ある「기생충」に自分がどんな感想を抱くのか…それを確認するためにも公開を楽しみにしています。
では、今回はここまで。
では、今日も見てくださってありがとうございます!
また、よろしくお願いいします
私は英語字幕で観ました。 はっきり言って、娯楽(ブラックコメディー)映画として視聴しないと気分が悪くなる種類の映画だと思います。 政治批判精神は乏しく、救いが感じられない印象があります。
韓国では半地下アパートが低所得者用住宅の象徴になっているようで、日本の報道でも「豊かな者が豊かであり続け、貧しい者は貧しさから抜け出せない韓国社会」の一例として半地下アパートを紹介していました。 韓国の経済格差には生々しい残酷さがありますので、洒落にならないのです。
ただ、話の筋は明確で、国や文化とは関係なく理解できる物語であると言えます。 それが評価された理由でしょう。
もえおじさん
コメントありがとうございます!
わぁ~!
そういうコメントしてくださるかた、有りがたいです。
私も政治的な観点、経済的観点で見ると、どうしても「うーん」となってしまいます。
だからそこの部分はあえて考えずに、私は「映画」としてみました。
そうでないと、受け入れられない部分も沢山あります。
ただ、ポン・ジュノ監督のバランス感覚で、もえおじさんのおっしゃる通り「国や文化とは関係なく理解できる物語」として、分かりやすく成立しているとも思います。
的確なコメント嬉しかったです。
今後とも、よろしくお願いします。