韓国初の“私設駅”開業までの実話を基に描く感動作!
안녕하세요?
oulmoon입니다.
今回は韓国映画のご紹介です。
これ、見たのは今年の5月だったのですが。。。
結局感想書くのがこんなに遅くなっちゃいました。
でも、前から観たいと思っていて、近くの映画館では公開終了ぎりぎりのタイミングで観れた作品だったのでどんなに遅れても感想は書きたかったのです。
というわけでかなり今更感もありますが、これからDVDなどで観ようと思っている方の参考になれば幸いです!
韓国映画「手紙と線路と小さな奇跡」
(以外、すべての画像元)https://movie.daum.net/moviedb/main?movieId=143697
原題:기적
韓国公開日:2021年9月15日
日本公開日:2022年4月29日
ジャンル:ヒューマンドラマ、ファンタジー
監督:イ・ジャンフン
キャスト:パク・ジョンミン、イ・ソンミン、イム・ユナ、イ・スギョン、チョン・ムンソン
上映時間:117分
韓国観客数:716,794名(韓国)
【受賞】
第58回百想芸術大賞の映画部門で作品賞受賞、監督賞、主演女優賞(イム・ユナ)、助演女優賞(イ・スギョン)
パリ韓国映画祭長編映画作品賞(イ・ジャンフン)
釜日映画賞助演女優賞(イ・スギョン)
ウディネ極東映画祭観客賞(イ・ジャンフン)
▼参考にどうぞ
【概要】
その線路は、夢に続いている―
この作品は、世界で最も小さな駅作りに奮闘した人々が紡ぐ、愛と感動の物語。
韓国の東部に位置し、国内初の私設駅である両元(ヤンウォン)駅をモチーフに、小さな駅づくりに奮闘する人々を描いたヒューマンドラマ。
唯一の「道」である線路を歩いて、日々命がけで隣町へ行き来していた住民たちの請願により、臨時乗降場として1988年に開業された両元駅。
ホームなどの駅の設備はすべて住民の負担で設置されたという実話を基に、往復5時間かけて通学する高校生が村に何とか駅を作ろうとする姿を描いたのが本作品である。
監督は、観客動員数260万人を突破した映画『Be With You ~いま、会いにゆきます』のイ・ジャンフン。
待望の3年ぶりとなる新作で、再び人間味溢れる愉快な面白みと温かい感動を届けてくれる。
キャストは、駅を作ることを夢見る数学の天才ジュンギョン役に、『ただ悪より救いたまえ』をはじめ圧倒的な演技力を誇る若手実力派パク・ジョンミン。
ジュンギョンのクラスメイト・ラヒ役に『EXIT イグジット』など(少女時代)、ジュンギョンの父親テユン役には『工作』をはじめ自由自在にキャラクターに染まるベテラン俳優イ・ソンミンが務めている。
その他、韓国を代表する演技派俳優が豪華集結。
韓国で最も小さな駅作りを通して描かれる夢への挫折と希望、人と人との絆が紡ぐラストは、温かな笑いと感動で観る者の心を温かく灯してくれるに違いない。
【あらすじ】
線路は通っているのに肝心の駅がない村住む数学の天才ジュンギョン(パク・ジョンミン)は、毎日往復5時間かけて高校に通っている。
機関士の父テユン(イ・ソンミン)の反対にもめげず、姉ボギョン(イ・スギョン)と村に残り、今日、大統領府に54通目の手紙を送った。
彼の夢である、村に駅を作るための嘆願書だ。
そんなジュンギョンの非凡さを一目で見抜いたクラスメイト、自称“女神(ミューズ)”のラヒ(イム・ユナ)と共に説得力のある手紙を書くため正書法の講義、テレビに出て有名になるための“高校生クイズ”、1位の大統領賞獲得に向けた数学大会の受験まで。
駅の実現に向け、様々な方法で努力を続けるジュンギョンだったが…。
【感想】
今回も別の映画の予告で観たくらいの情報量で作品を観ました。
よくある「皆で力を合わせて一つの夢を叶える」的な、私がどっぷりはまっちゃう系かなと思いつつ、大好きな役者さんが結構でていたので観てみたのですが…。
めっちゃよかったー!!
これ、とってもお勧めです!
なんとなく流れを予想して観てたのですが、思いもよらぬところで「転」が飛び込んできて、もうそこから感情揺さぶられまくり!
2時間くらいの映画って大抵90分過ぎたくらいから客観的に内容を分析しがちになるのですが、最後まで作品の世界に魅了されました。
まずは極力ネタバレしないよう、そこそこ抑えて感想を書いてきます。
ストーリーについて
この作品、のっけからめっちゃヒヤヒヤするシーンで始まります。
橋の上を通る線路をジョンギョン含めた10人くらいの村人たちが渡っていたら、列車がやってきたので慌てて橋の中間地点にあるちょっとした避難場所に逃げますが…
人数が人数だけに狭くてぎゅうぎゅうになりながらも、なんとか列車をやり過ごすというシーンです。
ジョンギョンの村は整備された道路がないため、住民たちは隣町に行くにも生きている道路を歩くしか手段がありません。
特に橋の上にかかった線路やトンネルを渡る際には、耳を線路にあてて電車が来てないか確認してから渡るという、まさに命懸けの移動!
「スタンド・バイ・ミーかよっ!」て本気で思ったけど、実際に1988年に駅ができるまでは彼ら達にはそれが日常だったんだから…。
一体どれだけの人が危険と背中合わせに生活していたかと思うと、それだけでもかなり衝撃を受けました。
今ある当たり前ってすごいことなんだと最初からパンチを喰らった感じ。
そんな命がけの日々を過ごす村人たちのために、数学の天才として一目置かれているジュンギョンはあれこれ動きます。
大統領に嘆願書を書き続けたり、トンネルの前に振動を感知して色が変わる信号機を設置してみたり。
村人が列車事故で亡くなっていることもあるせいか、たとえ機関士の父親が反対し続けても彼は諦めません。
更にクラスメイトのラヒ(イム・ユナ)のサポート(?)も加わり、出来ることは何でも挑戦するジョンギョン。
その様子は「いくら必要だからって高校生がなんでそこまで…」と感じるほどでしたが、彼が駅を作ることに執着する理由はただ一つ。
「父親に褒められたい」という願い、ただ一つのため。
正直そのシンプルな答えを聞いたときはイマイチ納得できませんでしたが、実はそれこそがこの物語の中核を担うとても深く濃い理由でした。
そしてその理由を観客側に伝えるべく、後半から怒涛の過去の出来事のネタバラシとなるのですが、その展開がこれまた上手いのです。
家族に襲い掛かった悲劇の連続をこの物語の中核とするような、よくありがちな「お涙頂戴もの」にはせず、一貫して父子の関係性に焦点を当てて作られている。
こういうところが、さすが韓国映画っていうのかなぁ。
しっかりと伏線が張り巡らされていて、観ている側に「あー、やられたなぁ」と素直に思わせてくれる。
蓋を開けてみればとてもシンプルなストーリーなのに、観る側が感情移入しやすいように丁寧に積み上げられた構成に自然と泣いてしまいました。
・ジョンミンと家族との関係性について
作品の中で終始みられる姉弟愛がほほえましい。
個人的に、韓国の家族って繋がりが日本より強そうなイメージあるのですが、そのせいか高校生になっても仲良しの2人に違和感は感じませんでした。
ただ、違和感が全くないというわけではない。
途中途中で胸に引っかかる点もあるのだけれど、「時代とお国柄もあるよね」となんとなく流してしまう。
だからこそ、過去の出来事が明るくなるににつれ「あ!そういわれると。。。」と腑に落ちました。
そして、不器用の塊と言っていいほどの父と息子の関係性。
「どこの家庭でもこんな隔たりがある感じなのかなぁ。」と思いつつ、ジョンミンと父親の性格や駅に関して意見が対立していることも含めて流していました。
でも、その理由が後半に明かされて…。
もうそこからはお互いの愛情に涙が止まりませんでした。
どんだけ不器用なのよ!
でもだからこそのラスト近くの2人のバタバタ道中は可愛らしくジーンとしました。
この作品の構成や演出のすばらしさもあいまって、「姉弟間の積み重ねられてきた強い絆」や「親が子を想う一途な気持ち」、「親を気遣う子の優しさと切なさ」がきちんと描かれています。
彼の生い立ちや背景が見えてくることで、色々なことが繋がって衝撃を受けるのと同時に、深い深い家族の絆や関係性の複雑さに改めてなんとも言えない切なさが込み上げました。
壊れていたようで実は三人が紡いできた家族愛をしっかりも感じたし、それぞれの思いに共感できて本当に素晴らしいなと感じました。
・誰かのために必死になれる美しさ
家族愛もとても丁寧に描かれているけれど、肝心の駅を作るための一つ一つの行程が、誰かが誰かのためを思って起こしている行動で、そこがまた胸に響きました。
なんというか、偽善的な感じがしないまっすぐな愛情。(いや、たまーにちょっと利己的な部分が出ちゃってるのもあったけど、それもまた愛しい🤭)
皆が何かしらを胸に動いている美しさ。
これまで起きた悲しい事故が二度と起こらないように。
安心して皆が生活できるように。
自分の大切な人がその才能を遺憾無く発揮して輝けるように。
自分が傷ついてでも、相手に傷を負わせないように。
それらも言い換えれば「友情」「恋愛」「家族愛」と言えるのかもしれないけど、それらの言葉に限定されないもっと美しい何かをそれぞれの演技でしっかり見せてもらったような気になりました。
ネタバレになるから細かく書けないけど!
気になる方は是非とも観てほしい!
登場人物(役者)たちについて
【実力派若手俳優パク・ジョンミン】
この作品を見る少し前に「ただ、悪より救いたまえ」を観ていたので、全くの別人を演じる彼に「さすが韓国の若手演技派」と思わずにはいられないほど感激しました。
よく「カメレオン俳優」なんて表現がありますが、本当にそんな感じ。
演じていることを忘れているような、本当にその役そのものを生きている…。
彼の作品を見るたびに「とんでもない才能が同時代に生きていて、その成長をリアルに見られる幸せ」を感じずにはいられません。
ちなみに、この作品の「制作記」で、「台本がすばらしかった」と本作を振り返るパク・ジョンミンについて、父に扮したイ・ソンミンも「韓国映画を引っ張っていく存在になる」とその高い演技力へ称賛を惜しみなく送ったほか、イ・ジャンフン監督も「共演者が泣くシーンで、自分は映らないのに一緒になって号泣し、芝居しやすい環境を作ってくれた」と感謝の言葉を述べています。
【韓国を代表する名役者の一人イ・ソンミン】
出ましたよ。
これまたとんでもないモンスター役者。
彼もまた、役柄によってまったく別の人間として生きる名俳優です。
ある時は木訥とした親父、ある時はカリスマ溢れる権力者、ふざけたおじさん役から愛情深い王様と、彼がどんな役を演じようと期待せずにはいられない存在です。
そんな彼がお父さん役で、しかもパク・ジョンミンとの親子なんて…。
それだけでお宝ものに決まってる!
本作品でも、最初は無口でいかにも田舎にいそうな頑固親父だったのに、後半から魅せる魅せる!
いや、前半のあれがあるからこその後半なんでしょうけども。
本当に本当に素敵でした。
ちなみに、本作の舞台となった慶尚北道奉化出身のイ・ソンミンについて、本作のキャスティングでまず思い浮かんだ俳優だと語るイ・ジャンフン監督も「強い人というイメージがあったので、普段隠している弱さを見せたかった」と演出について振り返っています。
【将来が益々楽しみな女優イ・スギョン】
本作ではお姉さん役で物語のキーマンとして出演しています。
私は本作で初めて認識した女優さんですが、結構色々な作品に出られてるんですね。
ドラマ「応答せよ、1988年」にも出演してるみたいだし、映画「沈黙、愛」でも今回と同じ賞を受賞しています。
パッと見は田舎のしっかりもののお姉さんという感じですが、後半にいくにつれて彼女が背負っている悲しみと家族への愛情、やがてくる未来に対する決意的なものを要所要所で感じました。
父と息子のもどかしさというか、お互いの内に秘めてる気持ちを一番理解していたのもお姉さん。
そして、母との関係が明らかになったときもまた…。
彼女がこのお姉さん役で本当によかったを
とても素晴らしい役者さんです。
その他、演技派俳優がそこかしこに出ていて「あー!」と思うこともしばしば。
先生役のチョン・ムンソンさんも好きな役者さんだし、父と同じ機関士役のユ・スンモクさんも好きだし…。
▲チョン・ムンソンさん
やはり韓国の役者陣は層が厚いなぁ。
ネタバレ少しあり※注意!!
最初のシーンの子供時代から6年後、「弟はそれなりに成長したのに、お姉ちゃんは相変わらず若くてかわいいなぁ、変わらないなぁ」なんて思いつつ観ていたら。。。
過去が明らかになっていき、「ああ、やっぱりそうか。」
ただ、そのファンタジー要素に対してチープさは感じませんでした。
むしろジョンミン達3人それぞれの家族に対する愛を実感できるいい演出だったと思います。
娘と奥さんの事故から、それぞれが負った心の傷。
自分が全て悪いと責任を一心に背負って心を閉ざしていた父親。
「あの時ああしていれば」という後悔の数々。
そして、そんな父親の背中をみて育った息子。
まさか父の行動が、残った自分への愛情そのままだとも思いもせず。
二度とあんなことが起きないようにと必死に行動することで、対立する父と息子。
それでも、がんじがらめになっていたはずの糸が少しずつほぐれ始め、息子と父をつなぐ一本の糸となった時、ようやく心から笑いあえるようになった2人の後ろ姿にとても愛おしさを感じました。
家族愛だけでなく、たまに出てくる恋愛やギャグ的要素にふっと笑いがでてしまう。
サスペンスではないけれど、疑心を一気に払拭する急展開から生まれるドキドキも楽しめます。
様々な感情が込み上げてくるけど、観終わった後は爽やかな感動と共に笑顔になれると思います。
ラストは家族の愛に包まれながら、ジョンミンの「人生」という名の列車が新たな目標に向かって走り始めたところで幕をひきます。
エンディングが流れる頃には、自分の背中も押してもらえたような気持ちになる本作品。
少しでも多くの人に観てほしい、素直にそう言える名作です。
他にも伝えたいことが山ほどあるけれど…
何はともあれ、興味を持った人はぜひ!
では、今回はここまで!
今日も見てくださって、ありがとうございます!
また次回の更新でお会いしましょう