今の韓国の一面を描く作品「7号室」
안녕하세요?
oulmoonです。
今回は先日観た韓国映画のご紹介です!
KBSWorldのKシアターで何度か放送していたのですが、その度に録画してもなぜか気が載らず、そのたび削除。
それでも主役の二人が作品を紹介していた動画を見て気になり、7月にまた放送されていたものをようやく観ました。
(画像提供元)https://movie.daum.net/moviedb/photoviewer?id=107246#1207425
原題:7호실
邦題:7号室
監督:イ・ヨンスン
キャスト:シン・ハギュン、ト・ギョンス(D.O.(EXO))、キム・ドンミョン、キム・ジョンス
公開日:
韓国公開:2017年11月15日
日本公開:2018年8月4日
ジャンル:ブラックコメディ
観覧等級:15歳以上観覧可
上映時間:100分
▼作品参考に
KBSWorld → ★
7호실(나무위키) → ★
Daum → ★
【概要】
潰れかけた個室DVDボックス店を舞台に、ある一室にそれぞれ隠しごとのあるアルバイト店員と店長の駆け引きを描いたシチュエーションサスペンス。
監督はイ・スンヨン。
主演は貧乏学生のアルバイト定員をアイドルグループ「EXO」のD.O.ことト・ギョンスが、倒産寸前のDVD店の店長を「高地戦」などに出演の演技派俳優シン・ハギュンが演じている。
【あらすじ】
ドゥシク(シン・ハギュン)が経営する個室DVD店は赤字続きで倒産寸前。
給料未払いが続くアルバイト店員のテジュン(ト・ギョンス)は、多額の報酬を支払うという麻薬密売人の話に乗り、預かったブツを店内の7号室に隠す。
一方、早急に店を売却したいドゥシクは、アルバイトを増やして大繁盛を装う。
その甲斐あって、売買契約を希望する相手が現れる。
ところが、店内で新人アルバイトが死亡する不慮の事故が発生。
パニックに陥ったドゥシクは、死体を7号室に隠し、誰も開けられないようにドアを施錠してしまう。
そうとは知らず、密売人との約束で麻薬を取りに戻ったテジュンは、隠し場所に入れず大ピンチに。
7号室のドアを開けたいテジュンと、誰にも開けさせたくないドゥシク。
“秘密の小部屋”を巡り、2人の運命を左右する壮絶な攻防が始まる!
(画像提供元)https://movie.daum.net/moviedb/photoviewer?id=107246#1210390
【感想】
これはサスペンスなのだろうか?
上にも書いたように、何かの影像でたまたま7号室について紹介していて、興味を持ちました。
アイドルとしても人気の高いD.O.ですが、彼の演技力は前から評判があったし、「神と共に」の彼も素晴らしかったし。
それに加えて、シン・ハギュンさんも好きな役者さんなので、2人のケミはかなりかなり期待できそうだと思って。
映画紹介から、サスペンスらしいし、ちょっと暗そうなイメージを持っていたので、実際に観るまでにはちょっと時間がかかりましたが…。
結果からいうと、サスペンスではない気がします。
個人的には、コメディ要素が強いけど…なんなんだろう?
確かにドキドキするようなシーンもあるけど、心底揺さぶられるかというとそれほどでもなく、主役の2人の攻防は、妙に笑えるけどすごく心に残るかというとそれほどでもなく…。
出演している役者さんたちはベテラン揃いだから、1シーン1シーンでは笑えたり考えさせられたりするんですけどね。
淡々としているわけでもないけど、何かが物足りない気もしました。
(画像提供元)https://movie.daum.net/moviedb/photoviewer?id=107246#1160413
あ…。
今の韓国の現実の一つを描写されているので、観る人によっては気持ちが暗くなるかも。
やるせないというか、なんというか虚しさが常に漂う感じ。
例えば、死体を運ぶシン・ハギュンさんのセリフに「俺たちには未来があるんだ。」というのがあるのですが、少なくともここまでの流れでは全然ピンと来なかった。
それまでの話から、全く未来が感じられない流れからのこのセリフ。
説得力ない…。虚しい…。
「これだけ違和感あるなら、構成的にどうなのか?」と思いました。
もしかして、ここでは敢えて言わせたのかな?
(画像提供元)https://movie.daum.net/moviedb/photoviewer?id=107246#1160414
ネタバレしたくないので詳細は書きませんが、最後までそれぞれが持つ問題は根本的には解決しません。
むしろこれから、彼らはもっと過酷な日々を過ごしていくことになる可能性もかなりある。
だからこそ、物事が全く上手くいかない時でさえ、希望を捨てるな…的な。
作者の「それでも生きていこうぜ!」 という前向きなメッセージが隠されているのかもしれません。
ただ、「サスペンス」だと思って観た人には、伝わりづらいかも。
今の韓国の一面がみられる作品
これも上でも少し書きましたが、この作品は韓国の社会性を描いています。
私にとっては、事件や感情的な面というより、この部分から考えさせられる作品でした。
イ・ヨンスン監督は、サスペンスとコメディ要素を活かしつつも、リアルな韓国社会の様子を非常にソフトに描いています。
今の韓国で問題とされているのは色々ありますが、その1つが経済問題。
流行の移り変わりの激しいため、韓国では数年単位でお店が開店・閉店を繰り返しています。
つまりそれだけ生活が不安定ということ。
その辺が、不動産屋さんとのやりとりも含め、お店の売買を通して伝わってきます。
また、ギョンスの借金の流から、新卒学生の就職難や若手社員のリストラに通じるものがあるのではないかと思いました。
就職できるのであれば、無理して大学にいなくても生きてはいけますから。
本当に勉強がしたいのであれば別ですが、彼は音楽で生きていきたいようだったし。
他には、外国人労働者問題も、朝鮮族のアルバイトの流れでふれていました。
ドキドキハラハラなサスペンスやアクションなどを期待してみるとがっかりな作品かもしれません。
じっとりとした狭い店内で起こる攻防戦にどこか物足りなさを感じてしまうと思います。
でも、社会に実際にある闇の部分を重視してみると、とても深い作品なように気がします。
不本意ながらそれぞれが置かれてしまった立場に対する怒りや苦しみ、未来への不安や焦りが垣間見れるシーンが沢山あります。
そして、その後の諦めと、それでも生きていかねばならない現実と…。
ジャンルを間違えなければ…
この作品を社会派ドラマだと思ってみると、中途半端に感じられるラストにも理解出きる気がします。
どんなに精一杯頑張っても世界は変わらず、今を生きるのがやっと。
世界に振り回されてばかりの人生に唾を吐きながらも生きていく毎日。
さらに、とんでもない事件に関わってしまっても、過去にもどって人生をやり直すことはできない。
だからこそ、最後に彼らがそれぞれ流す涙は、なんとなく理解もできました。
そして、ラストに出てくる「人生はやり直せる」の一言も。
きっと、これからの彼らを支える唯一希望の持てる一言なのではないかと。
この言葉には「これ以上の罪を犯してはいけない。」と自分を戒める意味があったのかもしれないし、「行けるところまでいくしかない。」という半ばやけっぱちの意味があったのかもしれない。
でも、どちらにしても2人にとっては救いの言葉だったと私はそう思いました。
この作品は、彼らのような、社会や人生に苦しんでいる人たちへ向けたエール的な作品だったのではないでしょうか。
そう考えると、なかなかいい作品だったと思います。
(画像提供元)https://movie.daum.net/moviedb/photoviewer?id=107246#1214147
興味のある方は是非ご覧くださいませ!
では、今回はここまで!
今日も見てくださって、ありがとうございます!
また次回の更新でお会いしましょう