年末年始に韓国映画はどうですか?
안녕하세요?
oulmoonです。
今日は大晦日ですね。
皆さんいかがお過ごしですか?
私は変わらず東京で一人年越しです。
年末特有の雰囲気でちょっと寂しさは感じるけど、「一人だから寂しい」というのとは違うので気楽です。
実家に帰って過ごす楽しさも好きだし、気楽に一人で過ごす楽しさも好きだし。
どちらでも楽しめる今を幸せだなと感じつつ、田舎の母親にはちょっと申し訳なさを感じつつ、過ごしています。
今回は、そんな中で観た韓国映画のご紹介です。
前から観ようと思いつつ、色々後回しになってしまった作品です。
大統領の理髪師(原題:효자동 이발사)
製作国: 韓国
公開日:【韓国】2004年5月5日
【日本】2005年2月11日
東京国際映画祭/最優秀監督賞・観客賞を受賞。
上映時間:116分
キャスト:
理髪師ソン・ハンモ ソン・ガンホ
ハンモの妻キム・ミンジャ ムン・ソリ
ハンモの息子ソン・ナガン イ・ジェウン
理髪師助手チンギ リュ・スンス
煉炭屋アン オ・ダルス
米屋チェ ユン・ジュサン
餃子屋ワン・チョルグ チョン・ギュス
警備室長チャン・ヒョクス ソン・ビョンホ
中央情報部長パク・チョンマン パク・ヨンス
大統領パク・チョンヒ チョ・ヨンジン
公式サイト(日本語) → ★
まだ上映中みたいな感じになっていますが、当然14年前の情報です。
효자동의 이발사(ナムウィキ) → ★
효자동의 이발사(NAVER) → ★
효자동의 이발사(Daum) → ★
概要
1960年代初頭から1970年代末までの韓国の激変期を背景に、当時の政治的な事件(不正選挙や軍事クーデター、北側の脅威など)を、当時を懸命に生きていた庶民の視点から描かれた作品。
暗い雰囲気が漂っていた時代な上に、主人公が「大統領専属の理髪師」になってしまったことから知ることになる生々しい現実も、コミカルな展開と息子のほのぼのとしたナレーションでユーモアたっぷりに描かれているため、最後まで重く感じさせない名作。
「韓国の至宝」と名高い名優ソン・ガンホが、体は大きいが小心者でちょっと抜けている床屋の親父を演じて笑いをとっている。
彼の妻役には『オアシス』のムン・ソリ。
強くたくましい典型的な韓国のアジュンマを好演している。
韓国では200万人を超える大ヒットを記録した。
ちなみに、作中に登場するソン・ガンホが担当する大統領は朴正煕がモデル。
最後に登場する大統領は全斗煥をモデルにしている。
あらすじ
舞台は1960年代の韓国。
大統領官邸“青瓦台”のお膝元であることを誇りに思っている町、孝子洞で理髪店を営むごく普通の男、ソン・ハンモ(ソン・ガンホ)。
近所の人に「豆腐のハンモ」と(豆腐の数えかたハンモ한 모と同じ発音から)バカにされるほど、人がよくてちょっと抜けたところもあるが、妻のミンジャ(ムン・ソリ)と息子のナガン(イ・ジェウン)と平和に暮らしていた。
そんな中、ある事件をきっかけに、ハンモは「大統領専属の理髪師」に選ばれるという大きな転機が訪れる。
なぜ彼が選ばれたのか事情を知らない町の人々は彼を羨むが、警護室長チャン・ヒョクスがにらむ中で、大統領閣下にかみそりをあてなければならないハンモ。
小心者故に縮こまりながらもその大役を黙々とこなす日々を送るが、必然的に大統領の身近にいるため、否応無しに政府の権力抗争に巻き込まれていく…。
感想
2004年の作品なので15年以上前ものですね。
ソン・ガンホさんが若い!
というか、出てくる人出てくる人、韓国ドラマ好きなら必ず見たことがあるというほど有名な役者さんばかり!
そんな人たちがみんな若くてびっくりしました。(驚く部分が違うか)
この作品をなかなか観なかった理由の1つに、時期的に今観てしまうと裏の目論見(政治的な刷り込み)を感じ取って素直に楽しめないかとも思ったことがあったのですが、秀作との呼び声も高い作品なので観てみました。
日本語ではネタバレしたくないので、内容的にはざっくりとしか書けませんが(韓国語のまとめでは、多分いつも通りネタバレするでしょうが)素直に感じたように書いてみます。
事前に時代背景だけは把握していたので「『弁護人』みたいに暗い感じ満載だったら嫌だなぁ」と思っていたのですが…めっちゃ楽に見れた!
いや、ちゃんと当時(世相を含めて)をしっかり描いていて、今とは少し違う韓国独特の雰囲気を味わえるんです。
(今もある意味政治的混乱気ではありますが、もっとはっきり分かれているというか)
でも、様々な事件(不正選挙、革命、クーデター、ヴェトナム派兵、青瓦台襲撃未遂事件、大統領暗殺などなど)をオブラートに包んでいるので、笑いと共に気楽に観られます。
「政治的に無知な庶民」の目線で描かれているからこそ、その重さも感じずに観ることができる。
でも、笑いながらも、ブラックユーモアというか、風刺的にちくっと辛口な部分も出すので、ふと真面目に考えさせられたり。
拷問のシーンもあるのですが、平和的で笑える部分と「現実にはこうはいかなかったよね」と感じさせる部分、またその結果起こった現実の無慈悲さに心を痛めたり。
一貫して思うのは、やはり名優ソン・ガンホさんの演技力の凄さです。
初めて大統領の髪を切るときの緊張感から、息子の病気を治そうと必死になる父の顔までを、さまざまな表情で演じ分け、そのあまりの自然さに、まるで「ソン・ハンモ」その人にしか見えなくなります。
これはどの作品でも同じことを感じますけど…。
彼が一貫して進んだ、「無我夢中さ」と「無知さ」
「よくわからないまま、命令に従った」
「よくわからないまま、大統領に必死で仕えた」
「よくわからないまま、理不尽な仕打ちにも必死に耐えた」
ソン・ガンホさんが運命に翻弄される庶民を熱演しているからこそ、見やすい中でもその悲しみもちゃんと感じることができるんだと思いました。
だから、この時代の暗い部分を知るのを躊躇している方には特におすすめな作品だと言えます。
ここから実際の歴史を勉強して、少しずつよりリアルな作品に移っていくこともできるし。
ただ1つ、個人的に残念だったのはラストの展開。
多くの方は「感動した」というラストだったと思います。
私もラストの二人の姿には心がほっこりしました。
でも…ちょっと「奇跡」すぎて、一気に気持ちが冷めちゃった部分でもありました。
いや、現実を最初からあれだけユーモアたっぷりに描いた作品なので、ありといえばありなんでしょうけど。
あれは、それまで全てのことを「よくわからないまま」進んできたハンモが、初めて自分の意思で動いた(「竜の目を削る」部分)という「成長」から生まれた奇跡だったのかな…。
そう思うと、突飛だけど理解もできます。
まぁ、ラストは引っ掛かったけど、全体的にとてもいい作品だと思います。
私はまだまだ当時のことを理解していないので、もっと勉強してからみたらまた感じることも違ったり、より楽しめるのかもしれません。
そういえば、「殺人の追憶」も今以上に当時のことを理解していないときに観たので、細部に散りばめられた当時のことを見逃している部分が沢山ありました。
きっと韓国の人は日本人の何倍も深く観ることのできる作品なんでしょうね。
ちなみに、いつものことながら助役たちも皆さん素晴らしい!
奥さんのムン・ソリさんが徐々にたくましい「韓国のアジュンマ」になっていく感じも、地域柄、時の政府を崇拝する米屋チェ(ユン・ジュサ)さんも、リュ・スンスさん演じるチンギにも、それぞれに笑えて胸が痛むシーンもありました。
みんな、時代に翻弄されながらも、懸命に生きる姿をとても自然に感じさせてくれます。
ちなみに、まるで本当の理髪師のように器用に仕事するソン・ガンホさんですが、妻役のムン・ソリさんと共にソウル市・乙支路4街市場通りにある某理髪店で一カ月間の特訓を受けたそうです。
まだ観ていない方にはお勧めの作品です。
勿論、もう一度見直してみるのもお勧め!
きっと前とは違う発見が何度でもある気がします。
おまけ
▼この作品に出てきた実際の事件たち▼
・李承晩政権による大規模な不正選挙
・学生たちによる革命で李承晩政権崩壊
・5.16軍事クーデターによる朴正煕政権の誕生
・1.21ゲリラ事件(青瓦台襲撃未遂事件)
・ベトナム派兵
・朴正煕暗殺事件
では、今回はここまで。
今年もこのブログを見に来てくださって、本当にありがとうございました!
一人の方も、家族や恋人など大切な人と過ごす方も、よいお年を過ごしてくださいね!
새해 복 많이 받으세요!
また次回の更新でお会いしましょう