안녕하세요?
oulmoonです。
先日、またまた韓国語映画を観たので、ご紹介しますね。
私にしては比較的最近の作品です
韓国映画「마스터(MASTER マスター)」
監督: チョ・ウィソク
キャスト: イ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビン、オム・ジウォン
韓国劇場公開: 2016年12月21日
日本劇場公開: 2017年11月10日
ジャンル: 犯罪、アクション
上映時間: 143分
MASTER マスター(Filmarks映画情報) → ★
韓国総動員数715万人を超える大ヒット作。
この映画は実在する韓国史上最大規模の金融投資詐欺事件「チョ・ヒパル詐欺事件」を題材に「監視者たち」のチョ・イソク監督がメガホンをとった作品です。
建国以来最大規模といわれる詐欺事件をめぐり、これを追う知能犯罪捜査隊と、稀代の詐欺師である投資会社の会長、そして会長のブレーンである天才ハッカーが繰り広げるスリルとスピード感あふれるクライムアクション、もしくは犯罪娯楽アクション。
言わずと知れた名俳優イ・ビョンホンさんが極悪非道な詐欺師役を演じ、彼を追うエリート刑事をカン・ドンウォンさん、善悪の象徴ともいえる二人の間に立つ天才ハッカー役をキム・ウビンさんが演じています。
3人の「マスター」が織りなす二転三転と繰り広げられる予測不可能な心理作戦と、多くはありませんがアクションシーンも見どころの一つです。
あらすじ
金融投資会社「ワン・ネットワーク株式会社」のチン会長は、巧みな話術と綿密な計画性、政界などの強大な人脈を駆使して数万人の会員から多額の投資資金を巻き上げている。
そんな彼らを半年間追ってきた知的犯罪捜査チーム長キム・ジェミョン(カン・ドンウォン)だが、チン会長がどんなに違法な取引をしていても逮捕することができない。
チン会長が常に韓国の権力者たちに賄賂をばらまき手なずけているためだ。
そこでキム刑事は、チン会長の側近である天才ハッカー、パク・ジャングン(キム・ウビン)を捕まえ、司法取引を持ち掛ける。
チン会長を捕まえるためには「金の流れ」と「交流関係」の証拠が必要と考えたキム刑事は、刑を軽くする代わりにワン・ネットワークの資金調達の要となる電算室の位置とチン会長の機密帳簿を渡すという条件を出す。
しかし悪知恵の働くパクは警察に協力するふりをしつつ、これを好機と会社の資金を盗み出す計画を実行していく。
そんな中、裏切り者の存在と捜査の手が自分に及んでいることを察知したチン会長は、パートナーと大金を持って行方をくらませてしまう。
それから1年、チン会長の遺体が海外で発見されたというニュースが報道されるが……。
韓国を代表する役者たちの競演
ベテラン俳優であるイ・ビョンホンさんに加え、30代俳優として確固たる地位を築いているカン・ドンウォンさん、そして若手俳優として人気のキム・ウビンさん。
演技派と名高い彼らが共演し生まれた、何重にも重なる騙しあいの世界を堪能できる作品です。
イ・ビョンホンさんといえば、映画だけあげても「JSA」、「純愛中毒」、「誰にでも秘密がある」、「甘い人生」、「グッド・バッド・ウィザード」、「悪魔を見た」、「エターナル」、「王になった男」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「密偵」、「メモリーズ 追憶の剣」、「それだけが、僕の世界」などなど、多くの作品に出演しています。
私も思い返してみると、「JSA」「甘い人生」「グッド・バッド・ウィザード」「王になった男」ほかいくつか見ています。
映画を見るまでは「見た目」で人気があるかと勝手に勘違いしていましたが(←失礼)、作品を観るごとに彼の演技力の高さに納得しました。
特に「王になった男」を観た時の感動は、何回見ても薄れません。
ちなみに「王になった男」は歴史ものの韓国映画史上最高額の興行収入を記してるそうです。
そんなイ・ビョンホンさんはこの「マスター」での演技について、こんなコメントを出しています。
これまでも似たようなスキャンダルは国内外で幾つかありました。
例えば、今回の作品は韓国でとてもよく知られている「チョ・ヒパル詐欺師事件」を参考にしました。
また、英語を話さなければならないシーンでは、私の友人を参考にしました。
アメリカで育った友人は流暢な英語を話しますが、東南アジアで仕事をしていくうちに現地のアクセントを身につけました。
地元の人々とコミュニケーションをとりやすいよう、敢えてそうしたのです。
私が演じたチン会長はもし語学力やコミュニケーションスキルがとても高い人物だとしても、彼ならその英語力を隠すだろうと思いました。
自分の能力を全て見せないということも、この映画の後半の重要な部分になりました。
いかにキャラクターにリアリティを持たせるか。
評価の高い演技力をもつ彼ならではの、細部へのこだわりは流石ですね。
一方、カン・ドンウォンさんも自分が演じたキャラクターに関して試行錯誤したようです。
ちなみに彼が今まで出演した作品は「彼女を信じないでください」「私たちの幸せな時間」「チョン・ウチ 時空道士」「義兄弟 SECRET REUNION」「世界で一番いとしい君へ」「群盗」「プリースト 悪魔を葬る者」「1987、ある闘いの真実」「ゴールデンスランバー」「人狼」などなど、こちらも多数出演しています。
個人的には「義兄弟」も好きです。
「群盗」はテレビでたまたまやっているのを途中から観たので、「またこれも観ないとな・・・。」と思いつつ、まだ観れていません
そういえば彼の「マスター」の役所はちょうどこの作品の一つ前に観たのが彼主演の「世界で一番いとしい君へ」とは全く違う役柄でも違和感なく楽しむことができました。
俳優の中には同じような役柄ばかりになってしまって本人も観る側もうんざりというパターンもあるので、内面の演技でこういう変化を楽しめる役者さんは素晴らしいですね。
キム刑事への役作りについて、カン・ドンウォンさんは次のように述べています。
私が演じた知能犯罪捜査班のキムは、史上最悪の詐欺師の一人を捕まえる真っ只中にいます。
彼はエリート警察官ですが、それは一つの側面にしか過ぎません。
彼を生身の人間だと感じるのは少し難しいかもしれません。
これまで「これこそ最も演じるのが難しいキャラクターだ」と何度か思ったことはありますが、今回の役柄こそ、その最たるものだと思います。
個人的に彼は描写しづらいキャラクターであり、通常の自分の声ではない声色で演じてみたいと思いました。
正義感の塊であり、エリートすぎて生身の人間と感じるには難しいキャラクターだからこそ、その内面性の表情の見せ方を試行錯誤してキャラクターのリアリティを作っていく。
今回のイ・ビョンホンさんやキム・ウビンさんの演技とは異なる、カン・ドンウォンさんの「一見内面が読みにくい演技=より内面深い表現力」を感じながら観るのも楽しみ方の一つかもしれません。
そして三番目の主役である天才ハッカー役のキム・ウビンさん。
元々は187センチの身長を活かしモデルとして活躍していた彼ですが、次第にCMのオファーが増たため演技指導を受けることにしたのが、俳優としての人生をスタートさせるきっかけとなったようです。
その後、ドラマ『ホワイトクリスマス』でデビューを果たし、『ヴァンパイア☆アイドル』というドラマに出演しますが、途中で打ち切りになるという経験も。
その後「紳士なの品格」「花ざかりの君たちへ」「友へ・チング2」「ゆれながら咲く花」「相続者たち」「技術者たち」「二十歳」「むやみに切なく」などなど、映画、ドラマ関係なく多数出演しています。
現在は鼻咽頭がん治療のため休養されていますが、復帰が待ち遠しい俳優の一人です。
彼は今作ではキャラクターのコンセプト会議から参加するなど、とかなりの意気込みで挑んだそうです。
天才ハッカーというキャラクターを演じるにあたり、彼は以下のように答えています。
パク・ジャングンはハッカーなので、映画に登場するハッカーを参考にしたり、ソフトウェアのエンジニアにインタビューしようと思いました。
しかし過去の経験から、自分の頭の中にイメージがあれば無意識にそれに従うことができると考えました。
今回は新しいことに挑戦したいと思い、パソコンのショートカットキーなどキーボードを叩く仕草を考えました。
撮影中はグリーンスクリーンだったので、私は自分が何をタイプしているのか見えなかったので、それを頭の中で可視化する必要がありました。
彼は今回の作品に参加するにあたり、「自分自身のビジョンを作り上げ、人間らしいキャラクターにすることが義務でした」とも言っています。
実際、天才的なハッカーともなると、素人では想像もつかないような先まで読み解き、最も正確な動きでキーボードを叩いているでしょうから、手先に迷いがあれば不自然ですよね。
専門的な知識が必要な役柄ならではの苦労と、どう映っているのか見えないながら演じなくてはいけない難しさ、その中でオリジナリティーを活かしたキャラクター作成に励んだキム・ウビンさん。
彼のそんな演技もぜひ意識して観ていただきたいです。
チョウ・ウィソク監督は「マスター」について、次のように述べています。
この映画の登場人物全員が、それぞれの領域においてマスターであり、「マスター」と呼ばれる価値があります。
キム・ジェミョン刑事は警察官の長であろうと務め、チン会長は詐欺師の首領であることを楽しみ、パク・ジャングンは緊迫した状況で生き残りに挑む究極のサバイバーです。
全ての登場人物にこのタイトルの意味があるのです。
監督の言う通り、このタイトルの意味も踏まえて観るのも、またこの作品を満喫できると思います。
感想
「マスター」は「詐欺」「マルチ商法」「賄賂」「汚職」など、韓国社会に長くはびこる悪に対して正義感のメスを入れた作品であり、最初から最後までスリルのあるエンターテイメント作品でもありました。
個人的には苦手な暴力シーンは思ったほどではなく、ただ彼らの騙しあいに振り回されてハラハラドキドキだったので、重すぎず軽すぎず、気持ちが落ちることがなかったのもよかった。
ストーリーは分かりやすくまとまってるし、143分という長編にしては時間を感じないほど純粋に楽しめました。
ただ、正直言うとこの作品の展開は「韓国映画」というよりは「ハリウッド映画」に近いと思います。
ネタバレになるのでなぜそう思うかは詳しくは書けませんが、観れば私の言いたいことは分かると思います。
でもだからこそ、爽快で最後まで気分よく見終えることができたのかも知れませんが。
すでに上でも書いているので必要ないとも思いますが、特にイ・ビョンホンさんの演技力は今回も素晴らしかったです。
表の顔と裏の顔の切り替わる時の表情が、流石の一言です。
そのカリスマ性から、彼のセリフ「はした金で遊ぶ奴らは詐欺師だ、10億100億なら経済事犯にランクアップ、じゃあ兆単位になったら何と呼ばれる?」
この後のセリフにはつい感心してしまいました。
そしてカン・ドンウォンさんのバランスのいい演技も良かったです。
正義感が強い熱い刑事というだけでなく、冷静さと巧みさで人を利用する面も併せ持っている感じが。
そのせいで色々惑わされる部分もありましたし。
キム・ウビンさんの最後までどっちにつくのか分からない態度なのも作品の面白さを増加させている気がします。
そのせいで、事件が終わった後、その最後の最後まで楽しませてくれました。
三人のことが気になる方は、ぜひ観てみてください。
「チョ・ヒパル詐欺事件」とは?
最後に、この作品のモチーフとなった「チョ・ヒパル詐欺事件」について少し補足を。
この詐欺事件は2008年に発覚した事件ですが、チョ・ヒパルという詐欺師が当時韓国で3万人もの投資家から4兆ウォン(5兆ウォンとの話も)をだまし取ったそうです。
その後彼は中国に密航してそのまま消息を断ったのですが、中国で急性心筋梗塞による死亡が確認され、韓国で火葬されました。
これによって捜査は収束したように思われましたが、ここからがすごい!
被害にあった投資家たちが偽装死を疑い、遺骨をDNA鑑定すると結果はまさかの“鑑定不可能”。
その後もヒパルの目撃情報が相次ぎ、更には側近が「ヒパルは整形手術で顔を変え、今も生きている」と証言したのです。
当然、早々に捜査を打ち切った警察が非難され、しかも警察署長や警察官らがヒパル側から多額の賄賂を受け取っていたことも発覚します。
映画同様に権力者たちは汚職にまみれていたということですね。
そして今現在もチョ・ヒパルの消息はつかめていないそうです。
映画では、チン会長死亡のニュースが流れたところまでがこの事件をモチーフにした部分ですが、その後の部分も含めて実話とともに楽しんでみてくださいね。
久々に長くなりましたが、今回はここまで。
映画に関する韓国語表現などは、また別でまとめますね。
今日も見てくださって、ありがとうございます
また、よろしくお願いします