안녕하세요?
oulmoonです。
昨日はバタバタしていて記事アップができず…
不甲斐なさを感じつつ迎えた本日ですが、気持ちを切り替えて参ります!
今回は、12月に放送していたのを録画していた韓国映画を観たので、その感想です。
禁断の愛を切なく描いた韓国映画「男と女」
韓国映画「男と女」
原題:남과 여
製作年:2016年製作
時間:115分
年齢制限:PG12
出演:コン・ユ、チョン・ドヨン、 パク・ビョンウン 、イ・ミソ 、イ・ジフン他
解説
雪景色のフィンランドで出会った男女が、禁断の愛に溺れていくラブストーリー。それぞれに家庭を持ちながらも日常に孤独とむなしさを覚える男女が、激しくも切なく惹かれ合うさまを描いている。
「シークレット・サンシャイン」でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞した演技派チョン・ドヨンと「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染」のコン・ユの共演。コン・ユは本作が初の本格恋愛映画主演作となる。
あらすじ
フィンランドのヘルシンキ、子供たちを国際学校へ送り迎えするのに偶然出会ったサンミン(チョン・ドヨン)とギホン(コン・ユ)は、遠く離れた北のキャンプ場に二人で向かうこととなる。
その道中、大雪で通行止めとなり、彼らは誰もいない森小屋で体を重ねあう。
名前も知らないまま別れた二人だったが、それから8か月後、ソウルで日常生活を送っていたサンミンの前に突如ギホンが現れ…。
感想
久々に「恋愛」のきっかけについて真面目に考える時間がもてた作品でした。
見終わって感じたことは、「恋愛って『救い』を求めることからスタートすると、うまくいかないんじゃないかな」ということ。
恋に落ちるきっかけって大きく二つに分かれる気がします。
単純になにかしら「自分の好み」にはまって好きになっていくパターンと、その時自分の置かれている状況から相手が救ってくれる気がして好きになっていくパターンと。
相手への依存度が高くなるのって後者だと私は思うのですが、大人になるにつれ後者の恋愛にはまる人が多い気がします。
未婚でも既婚でも、現状を変えてくれるきっかけになる「条件」だの「環境」だのがちらついたときに、つい手を伸ばしてしまう。
私には、この作品も後者的きっかけから二人が恋に落ち、どんどんはまっていったように感じられました。
あくまで個人論ですよ。
そんなきっかけで出会った二人がどんどん愛し合って、でも現実の生活もあってもがく。
当たり前といえば当たり前の流れだし、お互いの答えの出し方も「違い」がはっきり出ていて分かりやすかったです。
分かりやすかったけど、この作品の空気感が独特で、最後まで「どうなるんだろう」と気になりました。
独得と言えば、不倫映画でそれなりに激しいシーンもあるのですが、エロス感よりはアンニュイ感が常に漂うのも独得かも。
ちょっとフランス映画よりにしたのかな。
冬のシーンが多いからか、曇り空でパッとしないシーンが殆どなんです。
もしかしたら二人の気持ちや状況をここでも表していたのかもしれませんね。
やっぱりイケメンは得?コン・ユのストーカーばりの愛情表現
コン・ユ扮するギホンなんですが、基本的にはニュートラルというか、心の奥底では色々な感情があるのでしょうが、常に曖昧な表現しかしません。
ここがコン・ユの見事な演技力といえる部分でもあると思います。
サンミンを激しく求めつつも、妻子に対して罪悪感も強く感じています。
その葛藤が、あの感情のニュートラルさに含まれているのではないかと私は思いました。
しかし!
感情はニュートラルな感じなのに、行動はかなり極端な気も。
ソウルでの再会の時、彼の登場の仕方も「どうやって居場所を知った?!」とびっくりしたり、その後も「いつからそこでまっていた?!」と恐ろしくなるほど常にサンミンのことを見ている感じ。
ギホンとしては、会いたくて仕方ない感情が行動にでたのかもしれませんが、「これ、普通だったらストーカーと思われてもおかしくないんじゃ」と、かなり気になりました。
まぁ、この辺がイケメンの得するところというか、こういうことしてもよっぽどじゃない限りプラスにとられるんでしょうけど。
一体何があった?!チョン・ドヨンの大変化
この作品で一番驚いたのは、チョン・ドヨンさん扮するサンミンの「ビフォーアフター」ぶりの見た目の変化。
フィンランドで障害児の母親として現れたサンミンは、本当に生活に疲れ切った中年女性をリアルに見せていて、とても「一時の過ち」に巻き込まれるような魅力的な女性には見えませんでした。
「子供を守る」ということが唯一の救いのような頼りなさで、髪もぼさぼさ、化粧っ気も感じず、くわえタバコが余計に悲しく感じるさせました。
それなのに、8か月後にソウルで生活する彼女ときたら…。
女社長という肩書をもち、バリバリのキャリアウーマンとして生きる彼女はあまりに別人!
仕事や子供の世話に疲れても、どこか艶やかさを感じさせる魅力的な女性でした。
これが恋の効果?!(いや、それにしては時間が経ちすぎてるし)
そんな魅力的な彼女を見て、余計にギホンもはまっていったのかなぁ。
とにかく、「女性は化ける」という言葉を久々に感じた映画でもありました。
ラストの決断で感じたこと
前半に書いた「恋するきっかけ」の後者となりうるのは、得てして現実にもがいている人たちです。
それは誰かの妻や夫として、自分自身の孤独さを後回しにして生きてきた人たちも多くあてはまる気がします。
私も結婚していた時期があるので、そういったときに救いを求める気持ちも正直分かります。
不倫がいいこととは思いませんが、そこに救いを求めてしまう気持ちは分かるので。
孤独を押し殺していた2人の男女が、お互いによって再び“男”と“女”に戻る。
この作品はそんな2人の出会いから、最後の決断、そしてその結果やってくる悲しみまで流れるように「一つの愛」を描いた作品だと思います。
それぞれの思いから出した「決断」によって、お互いにどうしようもない悲しみを受けることにはなりますが、それも含めて愛なのだな、と。
一番象徴的に感じたのはやはり二人がすれ違うシーンでした。
ギホンのいるフィンランドに、再びやってきたサンミン。
その移動中に息子からの電話で涙するサンミンのため、タクシードライバーは無言で車を止停め、自分だけ車外に出てサンミンに思い切り泣かせる時間を作ってあげます。
そのあと、雪の積もったフィンランドの一面の雪景色の中で2人タバコをふかすシーンはなんともいえず心に染みます。
その時、サンミンとタクシードライバーがタバコを吸っている場所を通過するのがギホン一家の車。
ギホンはサンミンに気づき、タクシーを見つめますが、車を停めません。
その直前に、娘が不安そうに彼を見ていたのを知っていたから。
ただ、ミラー越しに何度もタクシーを気にします。
その瞬間、妻が放った「ありがとう」という一言。
あぁ、この奥さんは何もかも知っていて、家庭を壊さないために知らないふりをしていただけだったんだ。
彼女のこれまでの行動も含めて、その内に秘めたものにぞっとしつつも、多くの女性が持つ悲しみを改めて感じた気もしました。
愛する人のためにすべてを捨てても、責任のために愛する人を捨てても、どちらも悲しい。
それに巻き込まれた人たちも悲しい。
そんな悲しみをフィンランドの静かな白銀の世界が包み込んでくれているようにも感じました。
人間は弱い生き物です。
その弱さから救いを求めてどうしようもない道に進んでしまうこともあります。
サンミンもギホンも選んだ道が正しかったのかは分かりません。
でもだからこそ、その選んだ道を後悔なく進んでほしいと思わずにいられない作品でした。
ちなみに、ラストシーンで登場する女性ドライバー役を演じているのは、フィンランドの大女優カティ・オウティネンさんでカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した経験を持つ実力派女優です。
その存在感と佇まいの自然さは「さすが」の一言です。
彼女の演技力が、サンミンの孤独をそっと包み、解放へと向かわせている気がします。
おまけ
ネットでおなじ映画名で検索すると1966年のフランス映画がヒットします。
まだ29歳だったクロード・ルルーシュ監督の出世作。
ダバダバダのテーマ曲はあまりにも有名な作品で、こちらのリメイク版かなと思ったのですが、どうなんだろう?
フランス映画の方は互いに愛する夫と妻を亡くした子育て中の男女が出会い、愛し合うようになるまでの3週間を描いた映画です。
私はみていませんが、こちらはラストはハッピーエンド。
対してちょうど50年後に作られた韓国映画の方は、よりリアルで苦い物語となっています。
リメイク版にしろ、そうではないにしろ、タイトルも同じ、壮年期の男女の恋という部分も同じではありますが、見終わった後に心に残るものは大きく違う気がします。
今回は韓国映画「男と女」について個人的感想を載せてみました。
興味がある人は是非みてみてください。
DVDでもレンタルできますが、KBS WORLDでは今月再放送予定なので、視聴可能な方はチェックしてみてくださいね。
▼今後の放送についてはこちら
KBS WORLD → ★
再放送:
2020年1月24日(金)23:20~深夜1:35
2020年2月21日(金)23:20~深夜1:35
放送決定!
では、今回はここまで!
今日も見てくださって、ありがとうございます!
また次回の更新でお会いしましょう